ひとり時間

文/山口 晋似郎

music, book

〜本と音楽〜

この前僕が演奏するギターの音を久しぶりに聴いた中学の同級生が「昔を思い出した」と嬉しそうに言ってくれたのが、印象に残っている。
兄が親に買ってもらったエレキギターを借りて、練習するようになった中学1年か2年の頃。ギターはLegendというメーカーの、ケースにシールド、ストラップに小型アンプまでがセットになって12.800円!みたいないわゆるエントリーモデルだった。母が若い頃銀座の山野楽器に勤めていたこともあり、音楽が普通に家の中にある方だったが、兄の影響で当時の洋楽なんかに興味を持ち始めた頃だったため、家にやってきた新しい遊び道具に対して大変に夢中になった。中学時には同級生と洋楽ロック等のコピーをしていたが、高校に入ると自分同様まわりにもオリジナルの曲を作ろうという意識が芽生え始める。中学の同級生たちに何人かが加わりバンドになった。デモテープを作って週末はスタジオに入って練習。高校の終わり頃からはライブハウス等でもライブをし始めた。


そんな調子で音楽をやることだけ、ぼんやりとしか未来を見ていなかったので、高校卒業後は大学へ進学せず、バンド活動とアルバイトをなんとなくする日々を過ごしていた。月のライブの回数も少しずつ増えてはいったが、結局は練習といつものハコでのライブ。その繰り返し。1年半も過ぎるとだんだんとメンバーそれぞれの人生にも岐路がやってきて、集まりも悪くなっていった。結局僕も頭打ちな感じがして、大学へ進学することにした。20歳を過ぎる頃からは、電子音楽や即興演奏等の方に興味が移っていったため、バンドは人の入れ替えもありながらゆっくりやっていく方向にシフトしつつ、現在は止まっている。それから音楽の内容や興味に変化はあったけど、相変わらず音楽は続けている。ほとんど自分の状況は変わらずだったなあ。


Legendを抱えていた少年時代、音楽で伝説になってやろうとか、思ってたのかな。もう覚えていないや。でも正直もう少し「何かあるんじゃないかな」とは思っていた。セントバーナードでも飼って、やたら白い一軒家に家族と住んでいる。これが15歳の自分が思い描いていた30歳。全然違うぞー。さらに15年後は岩城滉一みたいになっているつもりだったんだけど、その場合、もう手遅れかもしれないが、少しでも理想の自分に軌道修正するためには、今から何を始めたら良いのだろうか。宇宙旅行を目指すとか。 そんな大それた伝説を目指すよりは、一度始めたことを大切にして、生きていきたいと思ってます。


友だちが僕のギターの音を聴いて感じてくれたことじゃないけど、あいつは変わらないね〜と言われる方が、やっぱり嬉しいかも。


今日の1曲

CLISMS / GOLDEN TIME

1台のドラムをばらしてふたりで叩くガレージロックバンド。
バンドをやっていた20歳くらいの時に何度か対バンしたことがありましたが、すごいかっこよかった。これは売れるわと思った。今はCLISMSよりも、おとぎ話ってバンドの方が良く出てるみたいすね。