塩沢 槙(Maki Shiozawa)
facebook https://www.facebook.com/maki.shiozawa.50
1975年生まれ。作家・写真家。
人間の生き様、仕事を主なテーマに、単行本の制作を中心に活動中。
主な著書『明日へのしょうゆ すべてをなくした蔵元の、奇跡の再生物語』(マガジンハウス)、『百年のしごと』(東京書籍)、『東京ノスタルジック喫茶店』(河出書房新社)等。
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今回は、3月に刊行された著書のご紹介を絡めて記事を作らせていただきました。
私がヤマニ醤油を知ったのは2013年3月下旬、東日本大震災から2年が過ぎたときでした。
当時私は別の単行本『百年のしごと』(東京書籍)という本の取材で、創業から100年を超える企業の取材で、日本各地へ行っていました。
そんななか、東北で東日本大震災の被害を受けてもなお、必死に継続を続けている会社があるのならば、是非取材したいと思ったのでした。
こうして私は岩手県の陸前高田で140年以上続いてきたお醤油屋さん、ヤマニ醤油の取材に訪れます。
そのとき、社長の新沼さんは、醤油作りと、事業再開に関わるすべてのひとを紹介してくれました。
少しずつお話を聞いて、これは深く取材したらきっといい本ができるのではないか、と思いました。
その取材では、ヤマニ醤油は20社取材したうちのひとつとして登場しました。

そして昨冬私は再びヤマニ醤油を徹底取材し、今回の本『明日へのしょうゆ すべてをなくした蔵元の、奇跡の再生物語』(マガジンハウス)を書きました。
この本の中では、それぞれの震災の日のことなども書いています。
けれども、私は震災の悲惨さや津波の恐ろしさを描きたくてこの本を書いたわけではありません。
私がこの取材を通して感じたこと、学んだことは、
生きていると考えてもみなかったようなつらい状況に立たされることがある。それは誰にでも起こりえる、他人事ではないこと。
けれどもそんなとき、人間同士の信頼関係と、強い意志があれば、人はどんなつらい状況からも、果敢に立ち上がることができる、ということです。 私自身もこの取材を通し、人々との交流を通して、力をもらいました。
なので、拙著ながら、是非Fikaの読者の方々にも、この本を手に取って頂けたら嬉しいなと思った次第です。

5月にはまた岩手県を訪れる約束を彼らとしています。
本を作り終わったらそれでおしまい、ではなくて、私はこれからも、見続けていきたいと思っています。
いつか、そんなお話もまたエッセイで書ければいいなと思います。